さて、いよいよ内容の方を充実させていきたいのですが、何を書きましょうか。(作品書け)
ここは僕の中の鉄板ネタ、初めて小説というものをちゃんと書いた時の事を話そうかと思います。
僕がまだまだ思春期真っ盛りの中学生だったか高校生だったか、多分それくらいの頃の話です。
当時の僕はかなり雑食でして、色んなジャンルの本を読んでいました。
それこそ純文学からライトノベルまで色々なものを。
分量としてはライトノベルが7割くらいでしたが、それでも周りの子たちと比べるとそれなりの量は読んでいた気がします。
まぁ井の中の蛙という言葉があるように、それは当時の僕周辺の人たちだけと比べて、なので、きっと総合的な読書量はそんな大したこともないのでしょう。
とにかく、僕は本屋に何の目的もなく足繁く通い、気になった表紙の本を手に取り、あらすじを読み、購入する。
そんな日々を過ごしていました。
ちょうどそのころ、僕は父にパソコンを譲ってもらいました。
今では考えられない程でかいデスクトップパソコンです。
それを手に入れたことによって、僕の中には一つのあこがれが芽生えました。
ブラインドタッチかっけぇよね・・・!
画面だけを見て素早いタッチでどんどん文字が打ち込まれていくその光景が、僕にはとてもかっこいいものに映りました。
だから僕は何とかその技を習得しようと、当時からあったタイピングゲームに勤しみました。
昔のタイピングゲームは文字をいかに早く打つかを重視していて、どの指でキーを打って、ホームポジションはここ、みたいなことは教えてくれませんでした。(探せばちゃんと教えてくれるものもあったのかもしれない)
だから、独学の我流タイピングが形成されてしまい、今少しそれに苦しめられています。
出来る限り矯正しようと頑張ってはいますが、癖づいてしまっていてなかなか難しいです。
少し話が逸れてしまいました。
とにかく僕は、その「文字を打ち込むこと」が大きな目的でした。
そして思ったのです。
これ打ち込み文字を指定されてるから遅くなるんじゃ・・・?
なら・・・自分で思う事書いていけばええんや!
と、似非関西弁で(愛知出身です)思ったことを皮切りに、小説(のようなもの)を書く(打ち込む)様になりました。
文脈も何もないただ思うがままに打ち込んでいく日々。
こうして僕の我流タイピングは強固に形成されてしまったわけです。
・・・さて。
ここまでは普通のお話です。
僕には姉が一人いるのですが、その姉が文系の大学に進みました。
姉は奔放な性格で、インドアよりアウトドア派で交友関係も広く、僕自身もよく姉の友人に可愛がって貰っていたことを覚えています。
人情に厚く、交友関係を大事にしていた姉は、時間的な制約もあり、必然的に読書量は少なくなってしまっていたのかなと思います。
(・・・そもそも読書を好んでいたかどうかも僕は知らないのですがww)
そんな姉に、いつも僕は助けて貰っていて、助言を求めるのも、問題が起きた時に真っ先に相談するのも姉でした。
同年代でそこまで仲のいい姉弟はいなかったかと思います。
しかし、ある時その立場が逆転するときがやってきました。
そう、それは、「大学の課題」です。
文系大学に通っている姉に、大学から「小説を書く」という課題を出されたのです。
姉は大学の授業で多少習ってはいるものの、どう書けばいいのか、という取っ掛かりが無さ過ぎたのでしょう。
僕に助けを求めてきました。
姉から助けを求められたのはその時が初めてだったと記憶しています。(姉にはそんなことないと言われそうですが)
ねぇ、大学で小説を書く課題が出たんだけどさ。
なんか参考になりそうな本ある?
できれば動物とか出てくる奴!
そんなリクエストをいただきました。
姉から頼られたことが少し嬉しかった僕は、いくつか候補を出しました。
動物なら・・・これとか、これとか・・・あと、これとか。
登場シーン短いけど、いい話だしこれとかも。
とヲタク特有のスキルを発動させつつ、持っている本からいくつか紹介する僕。
・・・おおう
次々と積まれていく本に言葉を失う姉。
本を手に取り、少しパラパラと中身を読む。
そして、数ページ読んだ後、姉は僕にこう言いました。
歩知さぁ、持ってるってことはこれ全部読んだって事よね?
まぁそうだね。
じゃあ中身全部知ってるわけだ。
・・・まぁそりゃ読んでるからね。
ここで、僕は少し嫌な予感がしました。
じゃあ書けるよね。
はい?
原稿用紙〇〇枚で〇〇文字以上だから。じゃよろしくー!
ええええええええええええ??!!??!!??
そう、あろうことか姉は僕に課題を押し付け自分の部屋へと戻っていったのです。
バタンと音を立てて無情にも閉まる扉。
残されたのは積まれた本と無音の世界。
ここで、その気になれば突っ返すこともできたでしょう。
姉も、僕ができないと言えば、それでも無理やり押し付けるような人ではありません。
それでも僕は、姉には歯向かえなかったのです。
僕は静かに机に向かい、パソコンの電源を入れました。
(この頃には父が新しくノートパソコンを買ってくれていて、勉強机の大半を埋め尽くしていたデスクトップとはさよならしていました。)
あまりにも唐突、あまりにも無茶なお願いでしたが、それでも当時の僕は頼られたのが嬉しかったのでしょう。
どんどん物語を紡いでいきます。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・書き始めてどのくらいの時間が経ったのでしょう。
それすらもわからない程に夢中になって書いていると、不意に扉をノックされました。
歩知ー。起きてるー?
そう声を掛けられ時計を見ると、もうすでに天辺を回ったあたり。
自分でも驚くほどかなり集中して書き上げていたようです。
え、まさかずっと書いてたの?やば。
どう?どんな感じ?
うーん。まぁ・・・。
やり始めたら書けるもんだなって感じ。
へぇ。すごいじゃん。
姉にそう言われて少し嬉しくなりました。
しかし次の瞬間、姉はとんでもないことを言い出しました。
じゃ、私遊びに行ってくるね!
は?え、や、これ、誰の課題・・・
行ってらっしゃい!!
そう、姉に歯向かうなんてことはできないのです。
下から玄関の閉まる音を聞きつつ(僕ら姉弟の部屋は二階でした)、僕は続きを書き上げていきます。
そこから、またしばらく集中する時間。
どれくらいの時間が経ったか・・・体感的には一時間も経ってないくらいだと思います。
下から玄関が開く音がしました。
遊びに行くといった割に、意外と早く帰ってきたな。
とか思っていると、階段を駆け上がる音がして、ノックもなしに僕の部屋の扉をあけ放ちます。
ねぇ歩知聞いて!私ねぇ・・・
彼氏できた!!!
かっ・・・!いやだから僕これいま・・・!
おめでとうっ!!!
ええ、弟はそう言うしかないのです。
弟というのは姉には歯向かえない生き物なのです。
そんな自由な姉でしたが、嫌いになんてなることなく、やっぱり自慢の姉なのです。
そんな事もありつつ・・・僕の人生の初めてとも言える作品が生まれました。
書き上げたのは、どこにでもある様な青春のお話。
姉が言っていた動物が出てくる話では全然ありませんでした。
それでも姉は文句ひとつ言わず、
ありがとー!
ちょっと書き加えたりするけどいい?
と、大学で教わった表現方法などを組み込む為に、少し修正をするくらいでした。
それも今思えば、僕に許可を求めず勝手にやったっていいはずです。
なんせ大学の課題なんですから。
それでも、僕に対して、作品に対してそう気遣ってくれたのです。
だから僕はこう言うのです。
好きに使っていいよ。
と。
これが、僕が物語を紡ぐようになったきっかけのお話です。
その後進路は二転三転しながらも、結局ここにたどり着くのは、なにか運命めいたものを感じたり感じなかったりするわけです。
余談ですが、大学での評価はそれなりに良かったそうです。
内容としてもかなりライトノベルに拠った表現だったりしたので、大学の教授さんなんかは受け入れ難いんではないかなと勝手に思っていたりしたのですが、案外そういう事は無かったみたいです。
凝り固まったイメージで人を見ていたのは僕の方でした。
・・・と、こんな感じで。
これから色んな作品を書き上げていきたいと思ってますので、よろしければ暇つぶしにでもなれば幸いです。
よろしくお願いします。
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